本文へ移動

機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.61 No.4 2022年7月号
≪特集≫
企業立地の新潮流

【やや増加した立地件数・面積と、長引く低迷】

 今年5月、経済産業省より「2021年1月~12月工場立地動向調査結果」が発表された。工場立地件数は858件(前年比3%増)、工場立地面積は1,283ha(前年比11%増)で、減少傾向が続いた昨年までよりやや持ち直すかたちとなった。業種別にみると、食料品製造、金属製品製造、輸送用機械製造等において立地件数、立地面積ともに増加した。
 しかしながら、工場立地件数はリーマンショック以降、1,000件前後で推移する低迷傾向が続いており、工場立地件数・面積ともに、バブル景気(1986~91年)でピークを記録した1989年の4分の1程度となっている。企業立地が地域経済活性化につながる要因として期待されることに変わりはないが、かつてのバブル景気や、より小規模ではあるがいざなみ景気(2002~08)でみられたような設備投資の活況からは遠ざかっている。

【激動する企業の周辺環境】
 近年、国内外の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大、イギリスのEU離脱、米中摩擦、ロシアのウクライナ侵攻ほか、激動する事象、情勢により、サプライチェーンの混乱や物価の上昇など大きな影響を受けている。また、自然災害の多い日本においては東日本大震災をはじめ、地震や豪雨など深刻な災害に毎年のように見舞われ、世界的な環境意識の高まりとも相まって、諸問題への対応が求められるところである。
 一方では、新たなテクノロジーが多岐にわたり進展しつつある。資源・エネルギー分野では再生可能エネルギーの導入拡大が図られ、政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を行った。モビリティ分野ではEV(電気自動車)やドローンで新たなビジネスが盛んに展開されつつある。AI・IoTやロボット等も技術の高度化がますます進み、幅広い技術分野に影響を及ぼしている。

【企業のために地域ができること】
 動き続ける時代、環境、技術を前にして、企業は常に変化を求められている。地域への企業の新規立地を図る、または地域企業の活動を維持し、さらなる設備投資を期待するにあたって、自治体の役割を考えると、現在の状況を踏まえ、また今後を見据え、企業にとって必要な支援・施策を考え、提供することが望ましい。また、人材、技術、環境、文化など地域が蓄積してきた魅力について企業に共有し、互いに連携し相乗効果で発展していくことができれば理想的ともいえる。今回の特集では、地域の事例も取り上げながら、新たな企業立地の潮流と地域の取組をみていきたい。

≪目次≫

視点

立地適応論を再考する
福井県立大学 地域経済研究所 特命教授 松原  宏

つくば市長 五十嵐立青
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 専務理事 上野   透

特集
企業立地の新潮流


シン・企業立地
―地域イノベーションによる“創発型”立地を目指す―
一般財団法人 日本立地センター 常務理事・産業立地部長 高野 泰匡

地域経済の内発的発展を促進する企業誘致に求められる方策
専修大学 経済学部 教授 河藤 佳彦

三重県の企業立地の取り組み
三重県 雇用経済部 企業誘致推進課 課長 前川 睦敏
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 常務理事・産業立地部長 高野 泰匡

誘致人列伝
徳島県つるぎ町 まちづくり戦略課 主幹 西分 正徳 氏

新規賛助会員紹介
福岡県田川市

イノベーションネット通信
イノベーションネットアワード2022 受賞プログラム・受賞者とその取り組み

資料
2021年(1月~12月)工場立地動向調査結果
経済産業省 地域経済産業グループ 地域企業高度化推進課

政策紹介
デジタル田園都市国家構想の基本方針(閣議決定(令和4年6月7日))について
   前 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣審議官 渡邉 政嘉

企業立地の動き
2022年4月・5月分(83件)

伏流水


TOPへ戻る