本文へ移動

機関誌「産業立地」バックナンバー一覧

機関誌「産業立地」

VOL.60 No2 2021年3月号
≪目次≫
視点
連携による東北地域の産業復興
亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科 都市創造学部 教授 林  聖子

特集
東日本大震災復興10年と東北の未来


談話室
内堀雅雄・福島県知事インタビュー
~震災・原発事故からの復興・再生と産業振興の歩み~
福島県知事 内堀 雅雄
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 専務理事 上野  透

東北地域の産業構造の変化と課題、今後の方向性
一般財団法人 日本立地センター 企画調査室長 加藤  讓

東北における自動車産業と今後の展望
東北学院大学 経営学部 経営学科 教授 折橋 伸哉

福島イノベーション・コースト構想の現在と今後の取組
公益財団法人 福島イノベーション・コースト構想推進機構 専務理事 伊藤 泰夫

共創を通じた社会の防災力向上の試み
国立研究開発法人 防災科学技術研究所 イノベーション共創本部 共創推進室 専門職 松本 拓郎

日本立地センターにおける東日本大震災復興支援の取組
編集部

賛助会員を訪ねて
産業振興のポイントを聞く ~岩手県の成長戦略~
岩手県 商工労働観光部長 戸舘 弘幸
聞き手:一般財団法人 日本立地センター 理事・産業立地部長 高野 泰匡

誘致人列伝
福島県南相馬市 経済部 商工労政課 企業支援係 企業立地担当係長 櫻井 淳 氏

新規賛助会員紹介
一般社団法人 全国スーパーマーケット協会

企業立地の動き
2020年12月・2021年1月分(69件)

伏流水


≪特集≫

東日本大震災復興10年と東北の未来
(産業立地2021年3月号特集より)

【東北地域における復旧・復興の現状】
2021年3月11日をもって、東日本大震災の発生から10年を迎える。今年度は政府が定めた復興・創生期間の最終年度に当たり、被災地全体にとって一つの大きな節目となる。
復興庁が今年1月に取りまとめた復旧・復興事業の進捗状況を見ると、震災による避難者は当初の47万人から4.2万人に大きく減少し、高台移転による宅地造成や災害公営住宅の建設も全て完成している。復興道路や復興支援道路の大部分も2020年度中に開通する見通しで、インフラ整備は総仕上げの段階に入った。
また、産業の復興・再生に向けても、国による施設・設備等の支援事業である「中小企業等グループ施設等復旧整備補助金」が663グループ・10,231件に交付決定し、また工場や商業施設を対象とする「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」及び「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」も製造業等864件、商業施設等31件を採択しており(交付・採択件数はいずれも昨年12月末時点)、被災地における雇用の場の確保だけでなく、住民の帰還促進や商業機能の回復に大きく貢献してきた。これらの後押しもあり、東北地域の製造品出荷額等は概ね震災前の水準に戻っている。

【震災の経験と教訓を未来に託すために】
こうした成果の一方、復興庁の設置期限が2031年まで延長されたことからも明らかなように、復興の完結には未だ至っていないのが現状である。特に産業の復興・再生に関しては、公共投資を中心とした復興需要に支えられてきた部分も少なくない中、2021年度の復興庁の概算決定額は約6,200億円と、前年度当初予算の半額以下に縮減されるなど、復興需要自体がすでにピークを過ぎている。真に自律的な産業の復興を実現するための取組は、これからがまさに正念場だ。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は東北でも大きく、各種経済指標もコロナ禍前の水準には回復していない。そればかりか、地域コミュニテイの希薄化や住民間の合意形成の困難化、限られた行政職員の振り分けなど、コロナ禍によって新たな課題も顕在化しているという。復興の完結までの道のりには、今後も様々な困難が横たわっているようだ。
本特集では、特別インタビューに応じていただいた内堀雅雄・福島県知事をはじめ、各界の有識者の方々より、今後の東北について示唆に富んだ考察をいただいた。震災の記憶の風化も懸念される中にあって、この10年の間、東北の地で培われた知識や経験、教訓を広く共有し、未来に託すための一冊となれば幸いである。また、当財団としても引き続き、産業振興・企業立地の面から、被災地の復興に尽力していく所存である。
TOPへ戻る