新着情報
「Withコロナ時代における施設・土地利用の展望」(産業立地2020年11月号特集)
2020-11-25
■機関紙「産業立地」特集
Withコロナ時代における施設・土地利用の展望
(産業立地2020年11月号特集より)
【働き方の多様化と都市のあり方への影響】
コロナ禍によって顕在化した問題は多々あるが、都市における過密もその1つであろう。感染拡大防止のために「3密」の回避が求められる中、大都市中心部への通勤集中の非合理性にスポットが当たり、またテレワークやモバイルワーク、サードプレイスオフィスなど、働き方の多様化が進んだことで、人々のライフスタイルや価値観にも大きな変化が生じた。
こうした都市における働き方を問い直す動きは、都市のあり方を巡る議論にも影響を与えている。国土交通省は今年8月、有識者や自治体、事業者にヒアリングを行い、その結果を「新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性(論点整理)」として取りまとめた。この中では、都市という場の重要性や機能の集積の必要性は今後も変わらないとしつつも、オフィスに関しては、郊外や地方都市でのサテライトオフィスのニーズの高まり、オフィス自体の分散立地、テレワークの進展による既存のオフィススペース内の余剰発生と床面積の縮減等に発展する可能性があり、今後のオフィス需要を注視する必要があるとしている。
【国内生産拠点に求められる柔軟な対応力】
オフィス以外の事業拠点、例えば生産拠点のあり方も、ここにきて再考を迫られている。先述の「3密」の回避は、製造業の生産工程とそこで働く工員にとっても無関係ではないが、問題意識としてより大きいのは、グローバル・サプライチェーンの強靭化を図るうえで、国内の生産拠点をどのように位置付けるか、というマクロ的見地によるものだ。
コロナ禍による教訓から、サプライチェーンを維持する最後の砦、さらには収束後を見据えたサプライチェーン再編の基点として、「国内に生産拠点を置くこと(残すこと)」の重要性が再認識されることとなった。この流れが立地の国内回帰を後押しするかどうかは別の機会に譲るとして、今後、国内の生産拠点においては、平時はグローバル・サプライチェーンを補完し、緊急時には国内のみでサプライチェーンを完結させるといった柔軟な対応力が求められる、との見方が増えている。こうしたニーズへの対応に加えて、喫緊の課題とされるデジタル化への取組が進めば、生産拠点内の施設・土地の利用形態も大きく変わってくるはずだ。
【変わりゆく施設・土地利用と描かれる新たな都市像】
今号の特集では、変化の最中にある施設・土地利用をテーマに、株式会社日建設計総合研究所、一般財団法人日本不動産研究所、東洋大学・川上准教授よりご寄稿をいただき、それぞれのお立場から今後の展望について考察していただいた。また、当財団からも施設利用の方向性等に関するレポートのほか、三菱ふそうトラック・バス株式会社のご協力を得て、同社のオフィス等の現状についてお話を伺った。Afterコロナの都市像・社会像にも繋がる内容となれば幸甚である。
コロナ禍によって顕在化した問題は多々あるが、都市における過密もその1つであろう。感染拡大防止のために「3密」の回避が求められる中、大都市中心部への通勤集中の非合理性にスポットが当たり、またテレワークやモバイルワーク、サードプレイスオフィスなど、働き方の多様化が進んだことで、人々のライフスタイルや価値観にも大きな変化が生じた。
こうした都市における働き方を問い直す動きは、都市のあり方を巡る議論にも影響を与えている。国土交通省は今年8月、有識者や自治体、事業者にヒアリングを行い、その結果を「新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性(論点整理)」として取りまとめた。この中では、都市という場の重要性や機能の集積の必要性は今後も変わらないとしつつも、オフィスに関しては、郊外や地方都市でのサテライトオフィスのニーズの高まり、オフィス自体の分散立地、テレワークの進展による既存のオフィススペース内の余剰発生と床面積の縮減等に発展する可能性があり、今後のオフィス需要を注視する必要があるとしている。
【国内生産拠点に求められる柔軟な対応力】
オフィス以外の事業拠点、例えば生産拠点のあり方も、ここにきて再考を迫られている。先述の「3密」の回避は、製造業の生産工程とそこで働く工員にとっても無関係ではないが、問題意識としてより大きいのは、グローバル・サプライチェーンの強靭化を図るうえで、国内の生産拠点をどのように位置付けるか、というマクロ的見地によるものだ。
コロナ禍による教訓から、サプライチェーンを維持する最後の砦、さらには収束後を見据えたサプライチェーン再編の基点として、「国内に生産拠点を置くこと(残すこと)」の重要性が再認識されることとなった。この流れが立地の国内回帰を後押しするかどうかは別の機会に譲るとして、今後、国内の生産拠点においては、平時はグローバル・サプライチェーンを補完し、緊急時には国内のみでサプライチェーンを完結させるといった柔軟な対応力が求められる、との見方が増えている。こうしたニーズへの対応に加えて、喫緊の課題とされるデジタル化への取組が進めば、生産拠点内の施設・土地の利用形態も大きく変わってくるはずだ。
【変わりゆく施設・土地利用と描かれる新たな都市像】
今号の特集では、変化の最中にある施設・土地利用をテーマに、株式会社日建設計総合研究所、一般財団法人日本不動産研究所、東洋大学・川上准教授よりご寄稿をいただき、それぞれのお立場から今後の展望について考察していただいた。また、当財団からも施設利用の方向性等に関するレポートのほか、三菱ふそうトラック・バス株式会社のご協力を得て、同社のオフィス等の現状についてお話を伺った。Afterコロナの都市像・社会像にも繋がる内容となれば幸甚である。