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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

本社機能の移転

(産業立地2016年7月号特集より)
【本社機能移転による地域経済の活性化】
 近年、最適な機能配置やBCPなどの観点から、本社機能の一部を移転している企業が見られるようになっている。コマツは地方創生に率先して取り組み、購買部門や教育研修部門などを石川県小松市に移転、アクサ生命は東日本大震災を契機にBCP機能などを北海道札幌市に移転している。また東レは社外研究機関との連携や研究開発力強化のため研究開発施設を地方に新設・拡充、JTBは生産性向上のために分社化と地方拠点の強化を図っている。
 自治体でも、工場や物流施設を単に誘致するだけではなく、その機能に着目し、本社機能、研究機能や購買機能などの間接部門も併せて誘致する方向にある。撤退の可能性が高い単なる生産機能だけではなく、マザー工場等付加価値の高い事業所であれば地域への定着性も高い。そのため、各自治体では、自治体独自の優遇措置を設けてマザー工場機能や本社機能の誘致を進めている。
 例えば、長野県は東京23区から本社機能を移転した企業の法人事業税を3年間で95%、富山県、石川県は90%減額する。群馬県、香川県は初年度50%、2年目25%、3年目12.5%を免除するという。兵庫県は23区だけでなく三大都市圏の企業、福岡県は県外全域の企業を対象としている。また石川県は不動産取得税、長野県、富山県は不動産取得税と固定資産税の減額措置を設けている。

【地方創生の柱のひとつである「地方拠点強化税制」】
 こうした流れを受けて、国では地方創生の施策の一つとして、地方に本社、研究所など間接部門の雇用を増加させることを後押しするために、こうした部門を増強する、あるいは移転する事業者に対して優遇措置を講じる「地方拠点強化税制」を平成27年度に創設した。昨年度の事業者の計画認定件数は71件(うち移転は5件)であった。
 今回の特集では、本社機能の立地選択と移転の可能性や政策、本社機能の移転・拡充の動向、自治体の取組や企業の事例などを紹介する。