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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

航空機産業

(産業立地2012年5月号特集より)
【航空機産業参入に向けた活動の広がり】
 かつて長きにわたり防需がメインであったわが国の航空機産業は、近年、生産額で民需が防需と並ぶに至り、民間ベースでの生産活動が活発化する傾向にある。米ボーイング社の国際共同事業に参画するかたちで主翼を三菱重工業が製造するなど、機体の35%を日本企業が手がけることとなったB787はその象徴的な存在である。わが国航空機産業はその高度な技術・品質で世界から高い評価を得ており、特に素材関連では東レがB787に炭素繊維を供給し、その強みを発揮している。
 将来に向けて新たな活路を模索する国内製造業においては、自動車や電機に続く有望な成長産業として航空機への期待が高まっている。航空機産業への参入や受注拡大を図るため各地で中堅・中小企業によるコンソーシアムが組まれ、地元自治体もバックアップするなどして活動が進められている。ただし、わが国航空機産業の生産額は、現状においては米・欧など主要国と比較するとはるかに小規模であり、また、JISQ9100等による高度な品質管理が求められるなど、新規参入の障壁は高い。しかし、積極的に取り組みを進めることで新規参入や共同受注の実績を挙げつつある例もあるし、また、航空機産業に関わる取り組みを通して、自社製品の品質や管理体制の向上など、二次的な成果が期待されるという側面もある。

【国内航空機産業の進展に向けて】
 経済産業省の示した「産業構造ビジョン2010」において、特に有望な先端的10分野の1つとして航空機が挙げられ、積極的に支援していくことが提言されている。そのなかで、わが国航空機産業について、素材やエンジンほか個別の分野で世界的技術を有していることを評価しながら、「自ら機体開発等の全体統合を成功させない限り、真にクリティカルな技術・特許や経験の蓄積と、裾野の拡大には結びつかない」と、将来に向けての大きな課題も示している。
 YS-11以来の国産航空機となる三菱リージョナルジェット(MRJ)の完成が待たれるなか、次世代の国内航空機産業の進展に向けて、MRJに続く次なる国産航空機の開発、そして国内航空機産業を支える地域産業の一層の充実が望まれるところである。