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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

地域発展の新しいビジネスのしかけ

(産業立地2010年9月号特集より)
【「地域力」の増幅に向けた自治体の地域経営】
 自治体の地域経営力を高めることが、地域の成長を量的な成長から質を伴った成長へと転換していく基盤となり、そこに新たなビジネスのしかけを創っていくことが可能となる。
 企業における「経営」とは、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源を戦略的に組み合わせ、管理することである。一方、自治体の地域経営は、地域の中小企業、商工団体、農業団体、NPOなど多様な自立的経済主体の協働の仕組みをどうつくるかに大いに関係する。個々の組織は合理的な主体であり、それらの自立性を重視しながら相互に協力的なネットワークを構築することができれば「地域力」が増幅する。自治体による地域プラットフォームといってもよい。地域産業の将来ビジョン、地域経営目標を明確にし、その目的に向かって協働するよう、自治体が参加主体間を調整する「場」を提供、運営し、信頼という社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を蓄積しながら、地域の場でその資本を活用していくことが地域の発展にとって必要である。

【内発力を高める仕組み】
 自治体は地域経営の中心であるが、その役割は、地域運営に関係する組織間の利害調整ではなく、ネットワーク経済がもたらす付加価値創出力を地域に育てることである。
 地域産業振興のための自治体の短期的な景気対策あるいは不況業種対策として、中小企業の融資保証、低利融資の実施などの金融支援、商店街活性化のためのハード面、ソフト面での支援があるが、本質的には、中小金業の雇用継続支援を通じた人材育成、地域プラットフォームをベースとする研究開発、製品開発などの環境づくりなど長期的観点に立つ政策を充実すべきである。
 まちづくりにおいても、自治体は主役ではなく、多様な主体に参加を求め、調整を図る立場に立つものである。地域産業振興において内発力を高めるような地域の仕組みを設けるのが自治体の役割である。本号では、そうした認識のもと、具体的な事例を通して考える特集を組んでみた。