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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

地域の再生と自律に向けて

(産業立地2007年9月号特集より)
【自立につながるシステムとしての「自律」】
 「自立」と「自律」。広辞苑で見ると、「自立」は、他の援助や支配を受けず、自分の力で身を立てること。経済的に一人立ちするなどとなっている。「自律」は、外部からの制御から脱して、自身の立てた規範に従って行動することなどとなっている。
 地域の収入を増やしていくことが「自立」につながり、増やしていく質の高い仕組みが「自律」(=システム)と読み替えられると思う。
 企業誘致による工場の立地と雇用の創出が、地域の税収増につながることは議論の余地が無い。しかし、かつて、東北地域に進出した多くの音響機器・部品メーカーが一斉に撤退したように、経済のグローバル化の中で、状況が変化すればスクラップできるブランチ・プラントで、いつ撤退するか分からないという危険性も秘めている。また、観光産業の促進、上勝町(徳島県)の「彩り」や大分県の「一村一品」などのような農業資源の活用など、地域の収入を得る手段はまちまちである。
 地域が経済的に自立し、自律するためには、地域の経済を構成するさまざまな主体の諸活動による、経済面、産業面での継続的な革新能力の醸成が必要である。


【自律をキーワードに考える、さまざまな地域づくりのあり方】
 今回は、「自律」という言葉をキーワードとして、地域、産業、都市を考えてみた。
南九州に80年代に展開したエレクトロニクス産業と近年北部九州に立地が進んでいる自動車産業が結合して、九州ブロック全体に波及する動きなどは、地方ブロックがどのようにして「自律」していくかを示唆している。
 90年代初めから、EUやカナダでは地域的イノベーションシステムが地域産業政策の重要な柱となってきているという松原教授の問題提起は、地域の自律を進めていくうえで、今後の重要な検討課題であろう。地域での産学連携なども、地域的イノベーションシステムのサブシステムとなる。
 産業面だけでなく、地域の市民レベルの参加・連携による“ひと”“こと”が創り出すダイナミズムによって形成される地域自律化の論考、また、中心市街地で「住む」ことと「働く」ことによる中心市街地の活性化を図ることが自律した地域形成につながるという論考など、「自律」のさまざまな場面がある。