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機関誌「産業立地」バックナンバー 特集

交流事業による地域活性化

(産業立地2006年11月号特集より)
【地域振興をめぐる状況の変化】
 地域振興と言えば長年、企業誘致というかたちで外部資本を地域に導入することが、確実に経済効果をもたらす手法として最良の策であると認識されてきた。しかし、90年代から約10年続いた国内経済不振の時代には、苦労して誘致してきた工場やテーマパーク、リゾートホテルなどの多くが苦しい経営を迫られる。頼みの施設が縮小や撤退に至り、地域経済が危機に瀕するケースも少なくなかった。もちろん現在でも、地域経済は企業誘致に負うところが非常に大きいが、こうした流れを経て、企業誘致一本ではない多様性や、地域の自発性を備えた手法が模索されることとなった。
 また一方で、「中央から地方へ」という構造改革の大きな流れにおいても、各地域が自立に向けて、自ら考え行動することが求められている。その過程において、文化・歴史遺産、産業遺産、自然環境といった、埋もれていた資源に地域自身が気づき、掘り起こすことが重要性を増している。さらに、2005年をピークにわが国の人口が減少に転じ、特に地方における過疎化、少子高齢化の問題は深刻である。地域の活力につながる人口を、いかにつなぎ止めるか。居住人口のみならず、外部から地域を訪れる交流人口をいかに増やしていくかが大きな課題である。


【高まる交流事業への期待】
 地域をめぐるそうした動きを背景に、政府の観光立国へ向けた政策も相まって、注目を集めるようになったのが、観光産業や集客産業といったいわゆる「交流事業」である。地域の特性を生かした独自の魅力を、地元主導によって打ち出していくことにより、人的交流を盛んにし、内発型の活力創造につなげていく。そうしたアプローチが、地域活性化の手法の1つとして大きく期待されているのである。
 交流事業は、名所旧跡や温泉などを資源とする一般的な観光をはじめ、町並み景観の整備やイベント開催による集客、産業遺産や工場見学などの産業観光、グリーンツーリズム、Uターン・Iターンなど幅広い。既に方向性を決め、一定の成果を上げている地域もあれば、先進事例を参考にしながら、模索を続けている地域もある。今月の特集では、交流事業をめぐる全体的な動向を紹介しながら、先進的な個別の事例を取り上げる。